努力
努力は人を裏切らない、とよく聞きますが、一方で
努力は人を裏切る、という言葉もよく聞くようになりました。
前者のほうが一般に知れ渡っていますが、後者はそれに対するアンチテーゼ的なものと言えるでしょう。
例えば、長年努力をしていたにも関わらず目的を達成できなかった場合に使われるようです。
果たしてどちらなのでしょうか。
私は結論から言えば、努力は裏切らないと思います。
確かに努力は、すればするほど目標に近づくとは限りません。
それで達成できることもあれば、できないこともあるものです。
しかしこの考え方自体、一元的な見方故と考えるとすれば、どうなるでしょう。
そもそも努力をして得られるものは、広く浅いのです。
例えば、長距離走のタイムを縮めるべく、明確な目標を設定して努力をした人がいるとします。
姿勢を気をつけてみたり、呼吸法を変えてみたり。いろいろな方法を試すことでそのノウハウを理解し、技術を身につけていきます。
では、その努力を介して得られるものとはなんでしょうか。
正しい姿勢かもしれませんし、整った呼吸法かもしれません。
しかしそれ以前にその人は、「自分の欠点を見つけ出し、それに関して試行錯誤をし、解決に導く思考」を得たのです。
これは長距離走に限らず、全ての事柄に直結します。
そして、仮にその正しい姿勢や整った呼吸法を持ってしても、目標を達成できなかったとしましょう。
その場合、これまでの努力をした日々は無駄となり、結果努力は裏切った、と言えるのでしょうか。
前述の内容とも重なりますが、目的のための努力は、目的にピンポイントで直結することはありません。
その人の人間的なステータスの向上に作用するものであり、目的を必ず達成できるという保証は無いという前提のもとで人のスキルに影響します。
目標は達成できなくとも、その努力が与えてくれたことは必ず身に付いています。その点から見れば、努力は決して裏切ったりはしません。
期待していた結果が出る事なく、挫折を感じる人もいるでしょう。
それでも、努力をしたことで、獲得したものは絶対にあるのです。
辛くとも、今回のことで何が得られたか、それを探るのが大事です。
広く浅い能力を一つ一つ身につけて行きましょう。
努力はすればするほど、様々な可能性が見えてきます。
そして良くも悪くも、どのような結果になるかわからない。それがまた面白いところでもあるのです。